耳鼻咽喉科医長 鳥越達也
味覚は舌の味蕾という受容器が4つの基本味である甘味・塩辛み・酸味・及び苦みを
識別して認知するものです。味覚の感受性はこの味蕾の数に比例すると言われています。
この4の味覚不全とは口腔全域の味覚がおかされるものですが、その原因の一つとして低亜鉛血症が挙げられます。血中亜鉛値の低下した患者の舌は味蕾が萎縮・偏平化を来たし、このために味覚障害がおこるわけです。低亜鉛血症は、原因のはっきりしない特発性のものを除けば服用薬剤に起因するものが多いといわれています。
低亜鉛血症の原因として、第一に消化管の吸収障害などによる亜鉛摂取不足があげられます。これは食物中の亜鉛(レバー、牡蠣、胡麻、ピーナッツなどに多く含まれる)の摂取不足のほかに、亜鉛を主に吸収する小腸上部及び十二指腸の病変や、食物中に亜鉛の吸収を阻害すると言われるカルシウムを多く含む場合などがあります。また第二に亜鉛排出の増加による薬剤性味覚障害においては、血中の亜鉛が薬剤とキレートを作り排泄されてしまうため低亜鉛血症が引き起こされると推測されています。
低亜鉛血症を来す可能性のある原因薬物としては、@精神安定剤・抗鬱剤A降圧利尿剤B抗生物質・消炎鎮痛剤C肝疾患治療薬などがあり、これらで味覚障害が引き起こされることが報告されています。
味覚障害症状が改善しましたが、原因の薬剤を中止できなかった場合では亜鉛製剤を投与しても約3割しか改善しませんでした。つまり亜鉛の摂取のみでは、薬剤性味覚障害の治療は難しいということになります。 薬剤性味覚障害の治療としては原因薬剤の中止、及び亜鉛(製剤)の投与ということになりますが、私共の統計では、薬剤を中止した場合は約8割の症例で血清亜鉛値、及び
原因薬剤のなかには、その人の病状によっては中止できないことも多くみられます。その場合は医師に相談して同様の薬効を持つ他の薬剤を使用し、同時に亜鉛製剤を服用するのが良いでしょう。
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