神経内科 融 衆太
誰でも過度に運動を続けたりすれば、筋肉が疲れることはあります。ところが極端に疲れやすく、力が入りにくくなる病気があり、重症筋無力症と言います。この病気のことが分かるようになる以前には、この患者さんは「なまけ者」と扱われることもあったそうです。小児から高齢者まで発症する可能性があり、人口十万人当たり約五人いると言われていますから、それほど珍しい病気ではありません。
症状の特徴は、運動の反復で筋力が低下し、休息によって回復すること、そして一日のうちでみると早朝に比べて、午後になると悪くなるということです。全身の筋肉に障害がでる可能性はありますが、目の筋肉に症状がでることが多く、がんけんかすい眼瞼下垂(まぶたが開けにくくなる)やふくし複視(ものが二重に見える)がでます。それ以外にも、運動を続けると手足の力が入りにくくなったり、長時間話すとしゃべりにくくなったり、ご飯を食べていると段々かみにくくなったり、飲み込みにくくなったりします。そして、最も恐いのは、呼吸をする筋肉にも障害が及んだ場合には、急激に息苦しくなったりすることがあることです。それゆえ重症という名前がついています。
でもこの病気の原因は解明されており、治療法についても確立されていますので、きちんと診断し治療をうければ心配はありません。神経と筋肉の接合部位に対する抗体が体内で産生され、神経と筋肉の伝達がブロックされてしまうために症状がでます。診断のためには、血液検査・筋電図・注射による症状の改善があるかどうかを検査します。治療は、飲み薬や注射の他、抗体産生と関連があると考えられている胸腺を摘出する場合もあります。思い当たるような症状のある方は神経内科を受診ください。
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