平成12年10月1日号 
骨粗鬆症

整形外科 宮本 恵成

 一般に高齢者、特に閉経後の女性では体の中で骨が作られていく量より吸収される量の方が多くなり、その結果として徐々に全体の骨の量が減少していきます。これによってせきつい脊椎やだいたいこつ大腿骨などに骨折を起こしやすくなる状態を「骨粗鬆症」といいます。

 ある程度以上骨量が減少した脊椎は特に強い力が加わらなくても重みに耐えられず徐々に潰れていき、あっぱくこっせつ圧迫骨折を起こします。このとき症状として腰背部痛を伴います。骨量が減少すること自体は痛みの原因ではなく、それに伴う骨折や変形が原因であるという考え方が一般的です。

 高齢者では筋力の低下や反応の鈍さなどにより転倒する可能性が高いですが、骨粗鬆症では転倒した際により骨折しやすい状態となります。よく起こる部位は脊椎の他にだいたいこつけいぶ大腿骨頚部や手関節などです。特に大腿骨頚部骨折では手術を要する場合がほとんどですので重大なけがと言えます。

 これらに対し、治療法は主に痛みの軽減と骨量の増加・維持に分かれます。せきついあっぱくこっせつ脊椎圧迫骨折による腰背部痛に対しては鎮痛薬の他に腹筋・背筋の強化を目的とした体操療法や、コルセットの装着などが行われます。

 骨量は年齢とともに減少していくのはある程度避けられませんが、なるべくそれを遅くするように維持することはできます。まず食事においてカルシウムを十分摂取する必要があります。成人におけるカルシウムの一日必要量は一般に六〇〇〜一〇〇〇rと言われていますが、日本人の一日平均摂取量はこれを下回っています。さらの高齢者ではカルシウムの吸収力が減少している為、より多くカルシウムを摂取する必要があると言えます。

 骨量を維持するためにはある程度の刺激が必要で、動かさないでいると骨は吸収され徐々に弱くなっていきます。軽い散歩や体操など、無理のない範囲で毎日体を動かすほうがよいでしょう。またある程度日光を浴びることも骨が形成されるためには重要です。 喫煙や大量の飲酒、激しいダイエットなどは骨量を減少させる因子となります。

 薬としてはカルシウム剤やビタミンDを始めいろいろな薬に効果があることが知られています。 高齢者のいる家庭では転倒を予防する環境作りも大切です。つまずきやすい段差をなくしたり手すりの設置やつえを使用することなどにより、危険を回避することが出来ます。

 以上のように、骨粗鬆症の予防と治療は日常生活の改善がメインとなります。思い当たるところはなるべく早めに改善していくと良いでしょう。


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