腎臓内科 岩崎 滋樹
高血圧・糖尿病・高脂血症などの疾患は、遺伝的因子だけではなく、食生活・運動・喫煙・飲酒などの生活習慣が大きな要因となることから、従来の成人病に代って生活習慣病と定義されるようになりました。生活習慣病とされている疾患群のいずれも高血圧と密接な関係があり、また特徴的な点も多く、各々と高血圧との関係を説明することは次に譲り、今回は生活習慣と高血圧に焦点を当て述べます。
我が国において高血圧症は、3000万人以上とされ、その半分が診断を受け、さらにその半分しか治療を受けていないといわれております。現在、高血圧の薬物療法はこの20年で長足の進歩を遂げていることは周知の事実であり、高血圧と診断されたならば医療機関にかかり指示を受けることが第一であります。
その一方、食塩摂取の制限、体重コントロール、運動などによって、血圧が低下することも明らかになっております。例えば、食塩摂取ですが、世界の疫学的調査でも、食塩摂取量の少ない地域ほど高血圧の頻度が少なくなっております。日本における塩分摂取量は87年の11.7g/日 が最低で、96年では13.0g/日に上昇しております。日本のガイドラインは七g\日の摂取量ですので、最近は一般的にかなり摂取過多になっていると言えるでしょう。しかしこれは塩味が濃くなったと考えるより、総摂取量が増えたため、結果として塩分摂取量が増えてしまったと考えて良いと思います。また、肥満と高血圧との関係では、 140/90mmHg以上の血圧を示す割合は、普通体重群で20%台に対して、肥満群では40%近くに跳ね上がっています。また、体重を5〜10s減らすことで、収縮期血圧が3〜12mmHg、拡張期血圧が4〜9mmHg低下できたことが報告されており、肥満が高血圧の増悪因子であることがはっきりしております。運動も数多くの報告がありますが、週3回1時間の運動で明らかな降圧効果を示しております。
厚生省の調査でも、若年層を主体とした運動不足が明らかになっており、最近の高血圧症増加の一因と考えられます。こうしたことから高血圧の治療は、非薬物療法が重要と考えられております。要点として、ストレスや過労の対策・減塩や過食制限を主体とした食事療法・禁煙・適度の運動などである。なかでも食事療法については、減塩・総カロリーの制限・アルコール摂取の制限などが重要になります。
最後に、日本高血圧学会が2000年に高血圧治療ガイドラインを提示しましたが、このなかで特筆すべきことは、後述するように高血圧の診断基準が従来より厳しくなっているということです。これは日本だけではなく、すでにアメリカや世界保健機構もほぼ同様な報告を何千人というデ−タを基に勧告しております。世界的なコンセンサスとしては、血圧はより低めに調節したほうが合併症が少ないという事が明らかになっているということです。思い出して欲しいことは、「あなたが20歳のときの血圧はいくつだったですか?」人間も動物ですから生殖年齢にベストの状態になるようになっております。ちなみに、ガイドラインでは正常血圧が130/85以下、至適血圧が120/80以下です。
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