平成13年7月15日号 
ペインクリニックの現状

麻酔科 木下 伸

 我が国にペインクリニックが発足してから40年近くになります。近年、医学の進歩は目覚ましいものがありますが、痛みの治療はまだまだ遅れているのが現状です。痛みの治療の難しさは、医療従事者であれば誰もが経験することです。痛みは最もありふれた感覚であり、痛みを訴えて来院する患者さんも多く見られます。我々は痛みの原因を探し、それを除去することに専念します。原因が除去されても痛みが残存する場合やいかなる治療にも抵抗する痛みが存在する場合などでは、病院を転々としながら最終的にペインクリニックを受診することが多く、ペインクリニックは最後の砦のような扱いになっています。 

 痛みには急性痛と慢性痛があり、急性痛は怪我したときなど日常生活において誰もが経験する痛みで短期間に消失します。これに対し、慢性痛は六ヶ月以上続く痛みと定義されます。痛みストレスに長期間曝露されると、不安や苛立ちがつのり益々痛みを強くします。痛みが強くなるとストレスも大きくなるという悪循環を引き起こし、最悪の場合は社会活動や家庭生活を崩壊することもあります。慢性痛に移行すると完全な除痛が困難であり、当科の外来でも痛みに苦しんでいる患者さんがたくさんいます。慢性痛に対し、我々は薬物療法・神経ブロック・レーザー治療などを行い痛みの軽減に努めています。

 痛みは客観的に判断することができず、これが痛み治療の難しさにつながります。痛みの治療の出発点は、痛みの訴えを第3者が理解することです。そして痛みの原因を除去し、同時に適切な除痛を行って慢性痛への移行を予防することが重要となります。ペインクリニックの認知度が高まり、最後の砦ではなく初期の除痛に携わり慢性痛への予防に手助けできればと願っています。


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