平成13年11月15日号 
糖尿病性腎症

腎臓内科 伊東 由紀枝

 慢性腎不全はその名の通り、放っておくと腎臓の機能が徐々に低下していき、進行すると、腎機能がゼロになるいわゆる「腎死」となる可能性がある状態です。慢性腎不全の原因はいろいろありますが、その主なものに、糖尿病性腎症があります。

 いまや透析導入の原因疾患のナンバーワンは腎炎から糖尿病になりました。そしていまも増え続けており、大きな問題となっています。腎症は糖尿病が進行した結果、合併症として発症してきます。そこが他の腎疾患との大きな違いで、患者さん自身の努力で血糖のコントロールをきちんとすれば、この病気にはならなくてすむ可能性が高いのです。腎症に進展してしまうと治療抵抗性であることが多く、他の合併症も多いため、患者さん自身の苦労も多いのです。今、幸いにも腎症を発症していない糖尿病患者さんにはこのことをよく知っていてほしいと思います。

 糖尿病性腎症の早期には微量アルブミン尿を認め、腎症の早期診断に有用であるといわれています。次第に病期が進行するにつれて持続性たんぱく尿、浮腫、高窒素血症などが出現してきます。多量の尿たんぱくのためネフローゼ症候群となってしまい、胸水や心不全などのいっすい溢水症状のために早期透析導入となるケースが多いのも特徴です。

 もし、腎症に進展してしまったら、食事療法と薬物療法の二本立てで対抗することになります。食事はたんぱく質と塩分の制限ですが、蓄尿検査によってたんぱく質と塩分の一日摂取量が計算できて食事療法がうまくいっているかどうか分ります。薬物治療で最も重要なのは血圧コントロールですが、降圧剤の一種であるアンギオテンシン変換酵素阻害薬あるいは受容体拮抗薬の腎保護作用が注目されており、第一選択薬となります。ただし、腎障害が進行した場合には使用しにくくなります。また、腎症発症後も血糖コントロールが重要であることはいうまでもありません


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