歯科口腔外科 鈴木 聡
今回は当外来でしばしば行っている歯牙の移植についてお話します。移植といってもここでお話するのは自分の歯牙を自分の歯牙のなくなつた場所、又は今後,抜歯するしかない歯牙の場所に移植することですが、おのずと条件があります。
1. 移植する歯牙と抜歯される歯牙[過去抜歯された歯]の形態,大きさが似ている事。
2. 移植する場所,移植する歯牙に強い細菌感染がないこと。
この2つが第一条件で,その他,細かな条件もありますがここでは割愛させていただきます。これらの条件を満たし,実際に外来でおこなっている症例の多くは,第三大臼歯[親知らず]を利用したものです。つまり,役に立つていない親知らずをなんらかの理由でダメになつた大臼歯の代わりとして移植するわけです。[上下,左右の違いは問いません。]この処置は外来,局所麻酔下で可能な処置で,所要時間は約1時間程度です。この処置のメリットは通常であればブリッジが入れ歯のような、少なからず周囲の歯に負担をかける処置になるところを,自身の独立した新たな歯を得られる事です。一方、デメリットですが、私はないと考えます。なぜなら、もちろん成功率は100%ではありませんが、最悪の場合,移植した親知らずが生着せず、脱落するのですが、ゆくゆくは何らかの理由で抜歯の運命をたどる歯なのですから。問題はタイミングだと思います。大臼歯の抜歯の必要が生じた時期に、利用できる親知らずがあれば、おこなう価値ありと考えます。その割に施行率が低いのは,術者の技量[適応症例選択を含め]による所が多い事,患者さんへの情報提供不足があるのでは,と考えております。
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