平成14年6月1日号 
貧血について

腎臓内科 小向 大輔

 貧血ときいて多くの人が思い浮かべるのは、立ち上がったときなどにフラフラしたり、電車の中で目の前が真っ暗になって気分が悪くなるときの事でしょうか。しかし、これらの症状は、自律神経反射などによる血圧低下の症状であることがほとんどです。以前から「脳貧血」と言われているもので実際の貧血ではありません。

 貧血とは血液中でヘモグロビンというたんぱく質が減少することを言います。ヘモグロビンは酸素と結合して組織へ酸素を供給する蛋白です。ヘモグロビンは赤血球という無核の細胞の中に入っていて、いわばこれはヘモグロビンを入れた袋のようなものです。貧血の原因として@赤血球が造れない A赤血球がすぐに壊れてしまう B出血している の三つが挙げられます。

 赤血球が作れない状態で一番多いのが材料不足です。ヘモグロビンを作るには鉄が必要で、鉄が不足するとヘモグロビンが少ししか入っていない小さな赤血球ができます。これを鉄欠乏製貧血といい貧血の中でもっともおおいものです。赤血球の寿命は約120日で、壊されたヘモグロビンの中の鉄はリサイクルされます。しかし特に若い女性では生理に伴う定期的な出血があり材料不足になり勝ちで鉄欠乏製貧血になりやすいのです。また鉄が十分あっても、慢性的に持続している病気があると鉄の利用が障害されて赤血球がうまく造られないこともあります。赤血球が壊れてしまう病気には、原因が赤血球そのものにある(異常な壊れやすい赤血球が造られる)場合と原因が赤血球以外にある(例えば抗体が赤血球を壊してしまう)場合があります。血液を作っている骨髄そのものの病気でも当然貧血が起こります。

 貧血の原因は無数にあります。貧血が、重大な病気の兆候として出現することも多いので検診等で貧血を指摘されたときは早めに専門医に相談しましょう。


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