平成14年8月1日号 
現代人の腰痛

整形外科 井上 秀也

 「いままで何ともなかったのに、突然腰が痛くなりました。どうしてでしょうか。」

 「レントゲン写真で何か異常はあるのでしょうか。」

 「鍼・マッサージ等をやっていいでしょうか。」

 「コルセットを長くつけると筋肉が弱ってよくないと聞いたのですが…」

 整形外科を受診される多くの方から、よく受ける質問です。残念ながら原因がはっきりわかる腰痛は、以下の場合で比較的まれです(約2〜10%)。

 @内臓からくるもの(腎臓結石・癌・血液のガンなど)、婦人科の病気など

 A感染症(結核・細菌など)、強直性脊椎炎など

 B腰の神経の腫瘍、圧迫骨折(骨粗しょう症)など

 レントゲン写真上、年齢的変化以外目立った変化はありません。というわけで、ほとんどの原因不明の腰痛は、時間が経つうちに痛みが軽減します (70%は1ヶ月以内、90%は3ヶ月以内)。その間、一時的に痛み止めを飲む(仕事が忙しい場合など)・よい姿勢を心がけること(適宜コルセット着用)になります。さらに、軽快したあと柔軟体操・筋力維持訓練を継続することも大切です。

 最近では、医師個人の経験や勘に頼らない"根拠に基づく医療(EBM)"が世界的に広まっています。(筆者自身は全面的に賛成しているわけではないのですが…)

 最後に腰痛に関するEBMを列挙しておきます。

 @腰痛の治療で、7日間以上のベッド上安静は意味がない。

 A鍼・マッサージ単独の有効性を支持する具体的証拠はない。

 Bコルセットの治療・予防効果は不明であるが、長期着用で筋肉が衰える証拠もない。

 C腰痛発生には、心理的・社会的要因も大きい役割をはたしている。


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