平成14年9月15日号 
内痔核に対する「輪ゴム結紮療法」

外科 堀江 和伸

 痔疾患は国民病とも言われているくらい、多くの人が悩まされている病気です。今回は「いぼじ」のなかでも1番多い、内痔核に対する「輪ゴム結紮療法」についてお話しようと思います。内痔核はその症状の程度により、次の4段階に分類されています。

 すなわち、

 第1度:排便時に出血のみがみられるもの

 第2度:痔核が排便時に脱出しても、排便がすめば自然に引っ込んでしまうもの

 第3度:脱出した痔核が自然には引っ込まず、指などで押し込まないと戻らないもの

 第4度:痔核が脱出したままのもの。

 これらの段階の中で第3・4段階の内痔核は、絶対的手術適応とされています。しかし、「肛門部の診察や治療を受けるのは恥ずかしい」あるいは「痔の手術は痛い」といったことから、内痔核の症状があってもなかなか病院を受診できなかったり、手術は受けたくないといった方が多いようです。

 そこで最近、外来で簡単にできる内痔核に対する「輪ゴム結紮療法」が見直されてきています。実はこの治療方法は、1954年に考案された方法です。その原理は、内痔核の「ねもと(根部)」に輪ゴムをかけることにより、痔核に入ってくる血液の流れを遮断して、痔核を腐らせて自然に脱落させるといったものです。輪ゴムをかけられた痔核は1〜2週間で脱落しますが、痔核が徐々に腐り落ちることにより、同時に脱落していく場所の組織は自然に修復されていきます。この治療法は1回5分程度で行うことができ、治療前に特別な処置を必要とせず、また痛みを伴わないため麻酔もいりません。よって、外来で行うことができ、当然治療後はそのまま帰宅できます。

 このように、苦痛もなく非常に簡単にできる治療法でありますが、どうような段階の痔核に対してでも可能なわけではなく、また治療後に全く合併症がないわけではありません。この治療法のよい適応は先に述べました痔核の段階のうちの第1〜3段階ですが、痔核が平らすぎたり、あるいは大きすぎる場合には行うことができません。また、痔核に対する根本的な治療は、痔核に入ってくる血管を確実にしばった上で痔核を切除しなければなりませんが、この方法ではその血管をしばりませんので根本的治療とは成り得ないこともあります。なお、合併症として代表的なものは、痛みと出血です。痛みに関しては、通常痛み止めを用いることにより対応できます。出血に関しては少量の場合は問題ありませんが、大量の場合には入院が必要になったり、一方、出血を止める手術が必要となることがあります。しかし、いずれも頻度的にはごくわずかですので、安心して受けられる治療法でしょう。

 以上、当科でも行っています内痔核に対する「輪ゴム結紮療法」について、ご紹介致しました。


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