平成15年2月1日号 
統合失調症

神経科  松沢 信彦

 「精神分裂病」という病名は、精神が分裂していると誤解されることが多く、社会の偏見を助長させてきました。そのために病名告知がなかなか進みませんでしたが、平成14年8月の日本精神神経学会の総会で正式に「統合失調症」と呼称が変更になりました。統合失調症とは、考えや気持ちがまとまりにくくなり、本人が困難や苦痛を感じ、回復のための治療や援助が必要になった状態を指します。日本では、約百年ほど前から精神分裂病と呼ばれるようになり、数十年前までは予後不良と考えられていたのですが、現代では神経伝達物質などの研究が進み、薬物療法が進歩し、かつ社会支援の拡大により予後は著しく改善してきています。一時的な精神機能の統合の失調であり、回復可能ということでこの呼称が採用されたのですが、自律神経失調症という病名が広く社会に受け入れられているという事情も考慮したようです。

 統合失調症の根本的な原因はわかっていませんが、何らかの脳の機能異常と心理社会的なストレスなど複合的な相互作用によって発症するのだろうと考えられています。現在60万人近くの患者さんが治療を受けていますが、一生の間に統合失調症になる確率は約1%前後といわれています。幻覚や妄想が出現することもありますが、これは脳内の神経伝達物質がバランスを失ったためであり、多くは薬で治癒します。早期に適切な治療を行うことによって、多くの患者さんは回復し社会参加しています。ただ、疲れやすさや神経の敏感さが残ることもあるため、焦らず社会参加をめざしたリハビリテーションを実施していくことが大切です。


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