耳鼻咽喉科医師 田中 健二郎
みなさんの中には、いびきを指摘されたり他人のいびきが気になった経験を持つ人が多いのではないでしょうか。いびきは本人には自覚がなく、あまりに身近な症状であり、睡眠という夜間の現象であるために、つい最近までは社会的にあまり重要視されていませんでした。しかし近年になり、ほとんど無自覚のうちに身体諸機能に悪影響を及ぼす病態として睡眠時無呼吸が広く知られるようになってきました。また、睡眠時無呼吸によってひき起こされる日中の眠気は自動車や電車などの事故につながることもあるため社会問題になってきています。
睡眠時に空気の通り道である上気道が狭くなるのはある程度自然なことで、上気道を開大している筋肉が弛むことにより、仰向けで眠ると舌や軟口蓋が重力に引かれて沈下し気道を狭くするのです。健康な人でもこうした状態では気道が狭くなり、軽いいびきをかくことがあります。また、普段はいびきをかかない人でも、疲労時や飲酒後にはこのような状態が顕著になっていびきをかくことがあります。もちろんこの程度ならば全く心配はいりませんが、いびきの合間に呼吸が止まるようになったら要注意です(自分では分からないので他の人に指摘されるようになったらということになりますが)。この無呼吸の時間が短く回数も少ないうちは体への影響はあまりありませんが、ひどくなってくると起床時に熟睡感がない、頭痛がする、日中に眠くなるなどといった障害がみられるようになります。そしてこのような状態が長期間続くと高血圧、不整脈、多血症などをきたす場合があり、最悪の場合には突然死に至ることもあります。原因は肥満であることが多いのですが、ほとんどの例では多種の要因が複合して無呼吸を形成しているので、心当たりのある方は上気道のチェックをお勧めします。
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