平成15年8月15日号 
大腸癌の話

消化器内科医師  刑部 優美

 大腸癌は世界で4番目に多い癌で、WHOによると1996年に全世界で約87500名が新たに発症したと報告されています。世界的にみると大腸癌の発生率は欧米諸国で高かったが、近年わが国においても、大腸癌患者数は増加しており、その致死率は1985年以降急激な勢いで上昇しています。またわが国の大腸癌の好発部位が、右半結腸から左半に偏位する傾向にあり、米国と同様にS状結腸にもっとも多く発生するようになっています。これは食生活の欧米化に伴い脂肪の摂取量が増加し、穀物や野菜の摂取量が減少したことと相関性があると考えられています。

 大腸癌には遺伝性のものと散発性(非遺伝性)のものがあり、散発性の癌が90%以上を占めます。他の癌と同様に、宿主要因(家族歴、遺伝索因、年齢などの影響を含む)多くの環境要因、生活習慣が多段階に相互作用し、多くの遺伝子変異や損傷が蓄積して、前癌病変である大腸腺腫を経て癌に至る過程も解明されつつあります。一方で、結腸癌の発生には遺伝的素因よりも生活習慣の変化が大きく影響しているとも報告もあり、典型的な生活習慣病とも言えるかもしれません。

 大腸癌を予防するためには身体活動を増やし、緑黄色野菜を多めにとることで、赤身の肉やアルコールの摂取を控えめにするような食生活が大切です。特に運動習慣による身体活動の活発化は腸管ぜんどう蠕動を亢進し、便の腸内停滞時間を短縮し、活性酸素消去系を不活化し、NK(ナチュラルキラー)細胞活性(ガン細胞等を破壊する)を上げ、肥満とともに二次胆汁酸関連の発癌物質生成を抑制するとも考えられているからです。

 このように大腸癌はわが国で男女ともに罹患率、死亡率が増えている病気であり、予防策としての生活習慣の改善とともに早期発見、早期治療が非常に大切です。ご心配のある方は早めの受診をお勧めします。

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