麻酔科医師 小林 瑞佳
麻酔科ペインクリニックの仕事のひとつに癌患者における疼痛治療があるのをご存知でしょうか?今回はその紹介を少しさせていただこうと思います。
癌疼痛治療の目的は、患者さんが痛みによって制限されたり、失っていた生活やその人らしさを取り戻すことです。痛みはとてもありふれた症状ですが、長い間、コントロールされていない状態が続くと、患者さんの日常生活を徐々に壊してしまいます。
癌の痛みに対して非常によく使用される薬のひとつにモルヒネがあります。みなさんの"モルヒネ""麻薬"に対するイメージはどんなものでしょうか?モルヒネは最後の手段でも、命を縮める薬でもありません。抗癌剤や放射線治療の効果を損なうことはなく、長い間使っていても中毒や廃人のようになることもありません。痛みがなくなれば、減量・中止することもできます。モルヒネは他の薬と同じようにきちんと使用すれば安全な薬なのです。
モルヒネはあくまでも鎮痛薬のひとつであり、痛みのコントロールに必要であればその時が始める時です。癌の進行度や生命予後と、モルヒネを始める時期は一切関係ありません。
進行癌の患者さん全体の七十五%に痛みがあるといわれており、日本ではまだまだ癌疼痛治療が十分な成果をあげているとはいえない状態です。患者さんに誤解や不安なく薬を使ってもらうことは疼痛治療だけでなく、本来の癌治療自体の効果をあげるためにとても大切なことです。
痛みは感情と切り離して考えることはできません。薬による痛みのコントロールだけでなく精神的フォローも含めて、入院・外来に関わらず、癌疼痛で困っていらっしゃる方の力になりたいと思っています。気軽に御相談下さい。
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