神経内科医師 瀬川 文徳
最近、歩行が不安定で、ちょこちょこ歩くようになった。第一歩が踏み出しにくい。物忘れが増え、注意力・集中力が減って意欲が低下した。トイレの回数が増えて我慢ができないことがある、などの気になる症状はありませんか。
こうした症状の方は、高齢者の水頭症(正常圧水頭症)の可能性があります。まだあまり知られていない病気ですが、これまで痴呆と考えられていた方の、二十人から三十人に一人は、この正常圧水頭症が原因と報告されています。
脳は、脳を保護する働きをもつ髄液という水に周りを囲まれています。この水は脳と脊髄の中を循環しています。この水の流れが悪くなり、脳の中にたまるようになると脳は水によって圧迫されてしまいます。これが水頭症です。従って、水を抜くと、今まで老化で萎縮しているものとあきらめられていた脳が本来の大きさに戻って脳の働きがよくなり、特に歩行が改善されます。
先日、厚生省研究班の分科会により正常圧水頭症の診断・治療のガイドラインがまとめられました。歩きにくいなどの症状のある方は、まずCTやMRIによる画像検査を行い、髄液がたまっているかどうかを調べます。正常圧水頭症の可能性があれば、腰から針を刺し、髄液を30mlほど抜いて診断します。この検査は三日間程度の入院で済みます。患者さんによっては、この検査だけで数日で足が軽くなる、歩行が楽になるなど症状が改善する方もいます。ただ、一度抜いてもしばらくするとまた髄液がたまってしまうので、お腹の中に髄液を逃がすシャント術という手術を行います。あるいは定期的に髄液を抜きます。そうすると正常圧水頭症は良くなります。
物忘れや歩きにくさを、年齢のためだとあきらめていませんか?心あたりのある方は、ぜひご相談ください。
特発性正常圧水頭症のことがよくわかるインターネットホームページがあります。参考にしてみてください。
http://www.inph.jp
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