平成16年7月15日号
大腸癌の初期症状って何?
外科医師 根本 一彦
「残念ですが診断は、大腸癌です。」「えっ!本当ですか?でも何にも症状はなかったのに・・・」 私が大学病院で大腸グループにいた時によく患者さんとしていた会話である。
さてさて、それでは唐突ですが問題です。『大腸癌の初期症状って何でしょう?』 家庭の医学を見てみると大腸癌の症状、または癌を疑う症状に下血、便秘、下痢、お腹が張るなどの症状が書いてある。フムフム、なるほど確かに大腸癌の症状として初めてみられる症状は下血、便秘などの症状であることは間違いない。しかしそれは初期(早期)の大腸癌の症状ではないのも確かである。なぜなら早期大腸癌の症状としては少なくとも自覚症状はないことの方が多いのだ。癌の症状発現を考えてみよう。まず正常でない癌細胞が自分勝手に増殖し、それらが正常の組織構造を破壊する。さらに増殖が進み、癌のある臓器が正常な機能を営めなくなり、この時初めて症状が出現する。言い換えればある程度が進行しなければ症状は現れてこないのだ。なんだか切ない話ではあるが、症状から癌を早期に見つける事は非常に困難であり、もし仮に早期癌を見つけたいなら、こまめに大腸の検査を受ける以外方法がないのが現状なのである。実際早期の大腸癌で治療をうけている方の殆どは健診でひっかかったりして、たまたま検査を受けられた患者さんばかりなのだ。
昨今の健康ブーム、いろんな本や健康食品、サプリメントが飛ぶように売れている。でもですよ、残念ながら癌の発生のメカニズムは今だに解明されていないし、大腸癌で病院にかかる方も減るどころか年々増えているのが現実。やはり予防と早期発見、早期治療は車の両輪でないか・・・と思う今日この頃である。
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