平成17年6月15日号
中耳炎のはなし
耳鼻咽喉科医師 矢野 裕之
みなさん誰でもご存じのように、中耳炎は耳鼻科の外来で治療する病気の代表的なものです。
多くのみなさんが考えておられる中耳炎は「急性中耳炎」でしょう。今回は、この「急性中耳炎」と、もう一つ、「滲出性中耳炎」についてお話します。
「急性中耳炎」は中耳に細菌が感染することで起こります。どこから細菌が入るかというと多くの場合は鼻からなのです。よく耳に水が入って中耳炎になると言われますが、これはほぼ間違いです。治療には抗生物質を使います。
たかが中耳炎と侮るなかれ。抗生物質の無かった戦前には中耳炎で多くの人が亡くなりました。伝説の漫才師エンタツ・アチャコが解散したのはアチャコが中耳炎で入院したせいです。
近頃、子供の「急性中耳炎」が治りにくくなってきています。効果の高い抗生物質を使っても以前より治るのに日数がかかるようになりました。充分に効果のない抗生物質を使うとむしろ悪くなることもあります。耳鼻科で「急性中耳炎」と言われたら治るまできちんと通院しましょう。
「滲出性中耳炎」は、様々な原因で中耳の老廃物を捨てる機能が悪くなり、中耳に体液が貯まって聞こえが悪くなる病気です。すぐに治ることもありますが、治るまでに何ヶ月もかかることも少なくありません。治療には飲み薬だけでなく、こまめな通院と処置が必要です。治りが悪いときには手術することもあります。
子供の「滲出性中耳炎」は、「急性中耳炎」をちゃんと治さなかったために起こることが少なくありません。「急性中耳炎」にかかったら小児科だけにまかせずに耳鼻科にも必ずかかりましょう。
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