平成17年8月1日号
最近増加傾向にある胃食道逆流症(GERD)について
消化器内科医師 林田 浩明
胃食道逆流症は、我が国において最近増えてきた疾患のひとつです。もともと欧米で有病率の高い疾患で、欧米においては上部消化管疾患のなかで一番多いものとなっています。一方発展途上国では少ない疾患であり、国によってその有病率にはかなりの差があります。
多い症状としては、胸やけ、上腹部の痛み、食物を飲み込むときの胸骨(胸部中央にある骨)後部の痛みやしみるような感じがあります。最近臨床の現場でもこのような症状を訴える患者さんが多くなってきており、皆さまのなかにも前述のような症状に心当たりのある方は以外と多いのではないでしょうか。胃と食道の間には、下部食道括約筋と言う胃液逆流防止のためのバルブ機構が在りますが、この逆流防止の機構が何らかの原因(加齢、食道ヘルニア、肥満、生活習慣など)で機能不全を起こすと、胃液の食道への逆流が起こりやすくなり本症を発症します。胃液(胃酸やペプシンと言われる消化酵素)が食道に逆流することによって逆流性食道炎等の合併症を引き起こします。内視鏡検査を行うと食道下部に種々の程度の炎症所見を認めることが多く、時には食道潰瘍を認める事もありますが、症状のわりに炎症所見をほとんど認めない人もいます。症状の軽微な例では生活習慣の改善、たとえば刺激の強い食事を避ける、飲酒を控える、肥満を改善する等で症状が良くなる事もあります。症状の強い例や、内視鏡検査で炎症所見を認める場合は治療の適応と思われます。治療は薬物療法が主となりますが、強力な制酸作用をもつH2ブロッカーやPPI(プロトンポンプインビター)を現在第一選択薬として使います。通常は数週から二ヶ月以内で症状、炎症所見とも改善します。薬物治療を行っても食道の強い炎症が持続する場合、頻回に再発を繰り返す場合頻度は少ないですが手術を行うことも有ります。
心当たりの症状をお持ちの方は、一度消化器内科にご相談ください。
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