平成17年8月15日号
心房細動について
循環器内科医師 谷口 良子
心房細動という不整脈は直接命に関わるような重症の病気ではありません。不整脈の治療薬や電気ショック療法で正常な脈に戻したりすることもありますが、必ずしも死亡率減少につながらないという研究結果もあり、最近では脳梗塞などの合併症予防治療に中心が移りつつあります。心房の壁の動きが悪くなって血流が滞ったりするために血栓ができやすくなるのですが、それがはがれて血液の流れに乗り、もし脳動脈に詰まると、脳組織が死んでしまいます。幸い命が助かったとしても、手足が利かなくなり寝たきりになったり、喋れなくなったりする病気ですので、血栓予防は大変重要です。血栓予防薬には何種類かありますが、今回は、その中の一つである抗凝固薬(ワーファリン)の説明をします。ワーファリンはビタミンKの働きを抑えることで、肝臓で血液を凝固させるタンパク質が生成されるのを抑え、抗凝固薬として働きます。ところがビタミンKが体に含まれる量は人によって大きく異なるために、普通の薬のように「この量を飲んでいれば大丈夫」という標準的な使用量を決められません。またビタミンKをたくさん含んでいる食べ物もワーファリンの効果を弱くします。代表的なものには「納豆」「緑色の野菜」があります。これらの食品の食べ方には注意が必要です。薬の効果は定期的な血液期検査(凝固検査)で評価し、その結果から薬の量を調節する、ということを繰り返すのです。また抜歯などで投薬量の調整が必要なこともありますので、そのような場合は医師との相談も忘れないようにして下さい。少し面倒に感じられると思いますが、有効性を考えると代用になる薬は少なく、心房細動の治療には欠かせない薬なのです。
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