平成18年3月1日号

白内障手術について

眼科医師  中川 里絵

  私達の眼はよくカメラに例えられますが、カメラでいうところのレンズにあたる部分が水晶体です。生まれた時は透明であったこの水晶体が、加齢や病気などに伴って濁ってくると、まるですりガラス越しに物を見ているかのように、視力低下・羞明などの視覚障害をおこしてきます。これが白内障です。

 

 昔は眼の後ろに痛い注射の麻酔をして大きな切開創を作り、白内障を取り出して何針も縫う術式が主流でした。そのため手術時間も長く、術後の回復にも時間がかかっていましたが、最近では大きく変わってきています。

 

 白内障手術の器械や手技が進歩し、現在主流となっているのは、超音波を用いて白内障を眼の中で細かく砕いてから吸引する方法です。その結果小さな創口から手術ができるようになり、短い時間で手術を行うことができるようになりました。もちろん早く終われば良いという訳ではなく、白内障の進み具合や患者様の眼の状況によっては時間がかかる場合もありますが、だいたい20分くらいで終わることが多いです。

 

 さらに当院眼科では点眼麻酔といって、目薬をたらすだけの麻酔で白内障手術を行っています。「それだけで大丈夫なの?」と不安に思われる方もいるかもしれませんが、手術中にお水が流れる感じや押される感じが多少残るだけで、痛みのような我慢できないような感覚はほとんど問題になりません。

 

 黒目の端に約2.8oの創を作ってそこから白内障の濁りを吸いだし、折りたたみの人工レンズを入れて眼の中で広げます。また、創口は自己閉鎖創にするので、ほとんどの場合糸は使いません。手術時間や術後の回復時間の短縮により、患者様の負担もかなり軽減されてきているのではないかと思います。そのため、昔は「かすんでかなりみづらくなってから手術」、というのが基準でしたが、基本的には「白内障のために日常生活に支障を感じたときが手術の時期」と考えています。同じ程度の白内障をもっている患者様であっても、人の感じ方はそれぞれです。身の回りのことができる見え方で充分だという方もいれば、車の運転をする方や絵を描くのが趣味の方など、より鮮明な見え方を望む方もいます。

 

 白内障の手術時期は一概に決められませんが、その方その方のライフスタイルに合わせて、患者様の希望を聞きながら、手術時期を決めるようにしています。「最近やたらと車のライトが眩しく感じる」「以前に比べ、かすんで見える」など見え方の異常を感じたら、一度眼科を受診してみて下さい。

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