平成18年5月15日号

腎不全の話 パート1

腎臓内科医師  若狭 幹雄

  腎臓は、背中に近いところに左右一個ずつあり、握りこぶし大で重さは100から120gです。左右合わせても体重の三百分の一ぐらいの臓器ですが、心臓から出る血液の20%以上が腎臓に送り込まれ、全身の老廃物を尿として排泄(はいせつ)しています。糸玉状の血管からなる糸球体(しきゅうたい)と尿細管(にょうさいかん)から構成される尿を作る組織を「ネフロン」と呼び、一つの腎臓に約100万個、合わせて200万個存在します。慢性腎不全とは、このネフロンの数が減った状態で進行すると最終的に透析療法が必要となります。

 

 さて100人が働く1日100個の製品を作る工場があるとします。80人、60人と徐々に働く人が減ると同じ目標達成するには残業せざるを得ませんが、50人になるといつまでも二倍は働けないので1日50個ぐらいに目標を下げ、残った人たちの負担を減らし長く働けるような工夫が必要となります。同様にいろんな病気で腎臓のネフロンが半分近くに減少すると、老廃物の排泄が十分にできなくなり尿素窒素(BUN)やクレアチニン(Cr)に代表される尿毒素の数値が上昇します。この腎不全の進行を抑制するためには、残ったネフロン(残存ネフロン)が働き過ぎないようにすることです。そのためには、血圧を下げ、尿蛋白をできるだけ減らし尿毒素を吸着して便に出すなどの各種薬物療法や貧血を改善する注射と同時に、低蛋白食に代表される食事療法が重要となります。"がんばらないけどあきらめない"で長く腎臓とつきあっていきましょう。詳しくはまたの機会に。

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